アルミダイカスト鋳造における
コールドチャンバー方式の最適化 ✨

2025年3月18日

🔍最適化の概要

アルミダイカスト製品の品質向上金型寿命の最適化は、製造コストとパフォーマンスに直接影響する重要な課題です。

コストパフォーマンスを重視した改善策で、鋳バリの削減内部品質の向上金型寿命の最適化を実現します!
🎯 改善の3つの柱
金型設計
鋳造条件
温度管理
材料最適化

💨チルベントによるガス排出最適化

チルベントの導入はコストパフォーマンスが非常に高い品質向上策です。従来の深さ0.1~0.2mmのエアベントでは能力不足でした。

📊 チルベントの経済的メリット
  • 鋳造作業の立ち上がり時間短縮
  • 捨て打ち回数の減少
  • スクラップ率の低減
  • 製品不良率の大幅な低減
  • 金型の有効寿命の延長
💰 投資回収例

250~350トンクラスの設備でチルベント取り付け費用15万円の場合、月産5,000個で不良率が16.67%から大幅に減少すれば、わずか1ヶ月で投資費用回収!さらに金型寿命約20ヶ月間、毎月15万円の利益が発生する可能性があります。

🌊オーバーフロー・エアベントの最適設計

オーバーフロー(O/F)には2つの重要な機能があります:

排出機能:溶湯充填時にガスや酸化物、介在物などを製品部に残留させない
スポットヒーター機能:金型の特定部位の温度を上昇させる
📝 オーバーフローの設計ポイント
  • O/Fゲートは可能な限り厚くする(過剰に厚いと製品への欠け込みに注意)
  • O/Fゲートの総断面積はゲート断面積の約50%が目安
  • 小さいオーバーフローを多数設ける方が効果的
  • 金型を温めたい範囲に配置することで、型温を安価に調整可能

オーバーフローとエアベントの設置場所は製品部での鋳巣の発生度合いに大きく影響します。エアベントはオーバーフローと一対で設置されることが多いです。

🚀射出条件の最適化による品質向上

⚖️ 射出速度と鋳造圧力のバランス

「最適充填」を実現するために高速射出が必要です。高速射出により凝固開始前の溶湯がキャビティに充填されるため、従来工法に比べて鋳造圧を下げられます。

ただし単純に射出速度を高速化すると、充填完了時のサージ圧力により鋳バリが発生しやすくなります。

🔄 射出システム4要素のバランス
  1. ダイカストマシンの射出油圧システムの能力
  2. 製品キャビティの溶湯流入経路の面積(ゲート断面積)
  3. キャビティ内を溶湯で満たすために最低限必要な時間(充填時間)
  4. ゲートから噴出する溶湯の速度(ゲート速度)

これらの要素の最適化にはPQ2線図J値を活用した科学的アプローチが有効です。

⚙️ 高速切替位置の最適設定

高速切替位置は鋳造品質に大きな影響を与えます。射出波形とプランジャー位置の関係を正確に把握し、VMとして鋳造工程(特に射出)の実測値による管理が重要です。

🔥金型温度管理の最適化

🌡️ 金型温度と溶湯温度のバランス

湯じわは金型の温度が低いときや金型と溶湯の温度差が大きいときに発生しやすい欠陥です。金型へ注入した溶湯が完全融合する前に固まることが原因です。

対策:離型剤の塗布量を少量にしつつ、金型温度を上昇させ、溶湯温度との適切なバランスを取ることが効果的
🔓 焼付き防止のための温度管理

焼付きは金型と溶湯が溶着することで発生する外観不良です。金型が局所的に加熱されることが原因です。

対策:鋳造法案の改善、金型冷却の見直し、離型剤の変更、塗布条件の変更

鋳造時にスリーブの温度バランスを一定に保つことで、変形や溶損を抑え、スリーブの寿命延長と鋳造品質の向上に大きな効果が得られます。

⚒️金型寿命を最適化するための対策

🛠️ かじり防止のための金型設計

かじりは成形後に金型から製品を取り出す際、製品の表面に引っかき傷が発生する現象です。

対策:金型表面の研磨や適切な抜け勾配の設計、離型剤の塗布条件の確認・調整
🔧 プランジャーシステムの最適化

耐溶損性、耐摩耗性に優れたスリーブを使用することで、長寿命化と製品不良率の低減が可能です。

ECOJET潤滑システム:型開き後にプランジャーが原点まで戻る行程でチップ後部より潤滑剤を放射状にスプレーする潤滑方式

💹コストパフォーマンスの高い改善策

  1. チルベントの導入:小さな投資(15万円程度/箇所)で大きな効果、早期に投資回収が可能
  2. オーバーフローとエアベントの最適化:金型設計時に考慮するため追加コストは比較的小さく、内部品質向上と金型温度の適正化に効果的
  3. 射出条件の最適化:既存設備での調整が主であり追加コストは小さい
  4. 金型温度管理の最適化:既存設備での調整が主で、湯じわや焼き付きの防止、内部品質向上に効果的
  5. 離型剤の最適化:材料コスト変更のみ、焼き付き防止と金型寿命延長に貢献
  6. プランジャーシステムの改善:耐溶損性の高いスリーブとECOJET潤滑システムなどの採用
  7. 金型設計の見直し:新金型製作時のコストは比較的大きいがかじり防止と金型寿命延長に効果的

✨ 結論 ✨

アルミダイカスト鋳造におけるコールドチャンバー方式の最適化には、金型設計と鋳造条件の両面からのアプローチが必要です。特にチルベントの導入は、最もコストパフォーマンスの高い改善策であり、多くの鋳造問題を解決できます。

オーバーフローとエアベントの最適化、射出条件の科学的な設定、金型温度管理の改善は、比較的小さなコストで大きな効果を得られる方法です。これらの改善策を総合的に実施することで、鋳バリの削減、内部品質の向上、金型寿命の最適化が実現でき、結果として製造コストの削減と製品品質の向上が期待できます。