アルミニウム鋳造・ダイカスト技術 工程別用語マップ

2025年3月17日 📌
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材料準備/溶解工程 🔥

アルミニウム鋳造・ダイカストの第一工程。適切な合金組成溶解条件が後工程の品質を大きく左右します!

合金化

複数の金属元素を組み合わせて合金を作る工程。特性向上を目的とする。

地金規格(JISH2211)

アルミニウム合金地金の日本工業規格。化学成分や品質要件を規定。

回収材

鋳造工程で発生したスクラップなどを回収して再利用する材料。

返り材(リターン材)

鋳造工程から回収され再溶解される材料。バリや不良品などが該当。

溶解工程では適切な溶解炉の選定と温度管理が重要です。合金成分の酸化損失や不純物混入を最小限に抑える必要があります。

溶解工程

固体金属を溶融状態にする工程。鋳造プロセスの最初の工程。

材料自動投入装置

溶解炉への材料を自動的に計量・投入する装置。作業効率化と配合精度向上に寄与。

傾動式るつぼ炉

るつぼごと傾けて溶湯を注ぐ方式の溶解炉。小規模生産に適している。

るつぼ電気炉

電気加熱方式のるつぼ炉。温度制御性に優れる。

⚠️ この工程で発生しうる不良:

  • 合金組成不良:成分のバラつきで機械的特性が低下
  • 不純物混入:異物が混入し介在物欠陥の原因に
  • オシゲ:溶解炉の炉底に堆積する不純物
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溶湯処理工程 🧪

溶湯品質の向上がこの工程の目的です!酸化物の除去とガス含有量の低減が鍵となります。

溶湯品質

溶融金属の純度や性状。合金成分、ガス含有量、介在物量などの総合指標。

渣(スラグ)

溶融金属表面に浮かぶ酸化物や不純物の総称。除去しないと鋳造品の品質低下を招く。

あかとり

溶融金属表面に形成される酸化物層(あか)を除去する作業。溶湯品質の向上に必要な工程。

あか落としベラ

溶融アルミニウム表面の酸化物(あか)を除去するための道具。金属製のへら状の工具。

脱ガス処理はアルミニウム鋳造品の品質向上の鍵です。水素ガスなどを効果的に除去することで、内部の気孔(ポロシティ)発生を大幅に低減できます。

脱ガス処理

溶湯から溶存ガスを除去する処理。不活性ガス吹込みなどの方法がある。

水素ガスの溶解度

アルミニウム溶湯中に溶解する水素ガスの量。ポロシティ発生の主要因。

脱ガス機構

溶湯からガスを除去するための機構。回転子や多孔質プラグなどで構成。

減圧脱ガス

溶湯を減圧環境に置くことでガスを除去する方法。溶湯品質向上に効果的。

脱ガス用フラックス

溶湯からガスを除去するためのフラックス(助剤)。

タブレット型フラックス

錠剤状に成形されたフラックス。使用量の管理が容易。

脱酸処理

溶湯中の酸化物を除去する処理。フラックス処理などが含まれる。

脱酸除渣

溶湯中の酸化物(酸化アルミニウムなど)と渣を除去する処理。

⚠️ この工程で関連する不良:

  • ガス巣:水素ガスが原因で発生する内部の気孔
  • 介在物:渣(スラグ)が混入して発生する欠陥
  • 酸化物:溶湯中に残留した酸化物による欠陥
  • ピンホール:微小なガス巣が表面に現れた欠陥
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鋳造工程 🏭

溶湯を金型に注入し形状を作る最も重要な工程です!鋳造方式に応じた適切な条件設定が必要です。

鋳造温度

溶湯を鋳型に注入する際の温度。流動性や凝固組織に影響する重要因子。

金型温度

鋳造時の金型表面温度。製品品質に大きく影響する重要因子。

金型温度管理システム

金型温度を一定に保つための自動制御システム。品質安定化に貢献。

自動金型温度調節装置

金型温度を自動的に制御する装置。温度センサーと冷却・加熱機構で構成。

鋳造方式の選択は製品特性や量産性に大きく影響します。ダイカストは生産性に優れ、低圧鋳造は内部品質が高く、重力鋳造はコスト面で有利です。必要な製品特性に合わせて最適な方式を選定しましょう。

金型鋳造

永久型を用いた鋳造方法の総称。重力鋳造、低圧鋳造、ダイカストなどが含まれる。

ダイカスト

溶融金属を高速・高圧で金型に射出して成形する鋳造法。高い生産性と寸法精度が特徴。

コールドチャンバー式

射出シリンダーが溶解炉と分離しているダイカストマシン方式。アルミニウム鋳造に適する。

高真空ダイカスト

金型内を高真空状態にしてから溶湯を射出するダイカスト法。高品質部品製造に適する。

クランプ力

ダイカストマシンの型締め力。射出圧に耐えるために必要な力。

射出力

ダイカストマシンの射出装置が発生する力。プランジャーで溶湯を押し込む力を指す。

射出装置

溶湯を金型内に高速・高圧で射出する装置。ダイカストマシンの主要構成要素。

自動スプレー装置

金型に離型剤を自動的に噴霧する装置。均一な塗布と生産性向上に貢献。

低圧鋳造

密閉した溶湯を加圧し、金型に下から上へ充填する鋳造法。内部品質が良好。

スクイズキャスティング法

溶湯充填後に高圧力を加えて凝固させる鋳造法。緻密な組織と高強度が特徴。

重力鋳造

重力のみで溶湯を金型に充填する鋳造法。シンプルで経済的な方法。

ロストワックス法

蝋模型を利用した精密鋳造法。複雑形状の高精度鋳造が可能。

減圧鋳造

減圧環境下で行う鋳造法。気孔欠陥の低減に効果的。

VACURAL法

真空吸引と加圧を組み合わせた高品質ダイカスト法。ガス巻き込み低減に効果的。

PFダイカスト法

無孔性(Porosity Free)ダイカスト法。真空技術などを応用した高品質ダイカスト法。

鋳方案

鋳造方法や湯道系の設計。製品品質に大きく影響する重要な技術。

⚠️ この工程で発生しやすい不良:

  • 湯回り不良:溶湯が金型の隅々まで十分に行き渡らない状態
  • コールドシャット:溶湯の一部が金型内で早期に凝固して発生する欠陥
  • 湯じわ:溶湯流れが停滞した際に形成される波状の表面模様
  • 絞られ:鋳造品の一部が十分に充填されずに生じる欠陥
  • 肌あれ:鋳造品表面のざらつきや小さな凹凸
  • 圧湯れ不良:金型への溶湯充填時に圧力不足により発生する不良
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凝固/冷却工程 ❄

凝固の制御が鋳造品質を決定づけます!適切な冷却条件と凝固順序の設計が重要です。

指向性凝固

特定方向から順次凝固が進行するように制御する技術。内部欠陥防止に有効。

金型冷却

金型の温度上昇を抑制するための冷却。水や油の循環、空冷などが用いられる。

空冷処理

鋳造品を自然空気中または送風により冷却する処理。組織制御に利用。

チル層

鋳造品の表面近くに形成される急冷凝固層。硬度が高く微細な組織となる。

凝固時の収縮制御は健全な鋳造品を得るための重要な課題です。適切な押湯設計や指向性凝固の制御により、引け巣などの内部欠陥を防止できます。また、急激な温度変化を避けることで熱応力による割れを防止します。

内引け

鋳造品内部に生じる引け巣。凝固収縮による内部空隙で、製品強度や気密性に影響する。

引け巣

凝固収縮により生じる内部空洞。鋳造品の気密性や強度に悪影響を及ぼす。

引け欠陥

凝固収縮による体積減少に起因する欠陥。内部引け巣や表面引けなどがある。

ざく巣

鋳造品内部に生じる粗大な空隙。凝固収縮が主原因で、強度や気密性に影響する。

熱間割れ

鋳造品が高温時に発生する亀裂。凝固収縮による応力が主な原因。

残留応力

鋳造後の冷却過程で発生し、製品内部に残る応力。割れや寸法変化の原因となる。

湯流れ性

溶湯が鋳型内を流れる能力。合金組成や温度に依存する特性。

残留液相

凝固過程で最後まで残る液体金属。合金元素の偏析を引き起こすことがある。

⚠️ この工程で発生する主な不良:

  • 引け巣:凝固収縮による内部空隙
  • ざく巣:粗大な内部空隙
  • 熱間割れ:高温時の応力による亀裂
  • 残留応力:冷却過程で発生する内部応力
  • 偏析:合金元素の不均一な分布
  • 異常組織:通常とは異なる金属組織
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型抜き工程 🔧

凝固完了後、製品を金型から取り出す工程です。製品変形を防ぐタイミングと方法が重要です!

抜け勾配

鋳造品を金型から取り出しやすくするための傾斜角度。製品形状に応じた適切な設定が必要。

自動製品取出装置

鋳造後の製品を金型から自動的に取り出す装置。作業効率向上と安全確保に役立つ。

金型寿命

金型が使用可能な回数または期間。経済性に影響する重要指標。

金型保全

金型の性能維持のための点検・修理・管理活動。生産性向上に寄与。

型抜きのタイミングは製品品質に大きく影響します。製品が十分に冷却される前に型抜きすると変形の原因になります。一方、冷却しすぎると収縮により型抜きが困難になることがあります。

ダイバー引抜装置

インサート部品を自動的に引き抜く装置。金型から製品を分離する際に使用。

鋳造ひずみ

鋳造工程で発生する製品の変形。不均一冷却などが原因。

シェイクアウトマシン

砂型鋳造で、製品と砂型を分離する振動装置。

ノックアウトマシン

鋳型から鋳造品を取り出す装置。振動や衝撃を利用する。

⚠️ この工程で発生する主な不良:

  • 型抜き変形:製品が取り出し時に変形する不良
  • 鋳造ひずみ:冷却収縮による寸法変化や反り
  • 割れ:取り出し時の応力による亀裂
  • 表面キズ:型抜き時の擦れによる表面欠陥
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後処理工程 🛠️

鋳造後の仕上げ加工や熱処理を行う工程です。製品の最終的な特性を決定づけます!

鋳ばり

鋳造品の分割面に発生する薄い金属のはみ出し部分。金型の合わせ面から溶湯が漏れて形成される。

鋳ばり取り

鋳造品から不要な鋳ばりを除去する作業。

バレル研磨

多数の製品を回転容器(バレル)内で研磨材と共に回転させる表面仕上げ法。

仕上げ代

鋳造後の機械加工のために余分に設けられる寸法。加工精度確保のため必要。

熱処理はアルミニウム合金の特性を大きく向上させる重要な工程です。T6処理(溶体化処理+人工時効)により、強度を大幅に向上させることができます。用途に応じた適切な熱処理条件の選定が重要です。

T4材

溶体化処理後、自然時効させた材料状態。アルミニウム合金の熱処理記号。

T6材

溶体化処理後、人工時効処理を施した材料状態。最高強度を目指す熱処理。

溶体化処理

合金を高温に加熱し、急冷することで過飽和固溶体を得る熱処理。時効硬化の前段階。

時効硬化処理

析出硬化型合金に施す熱処理。溶体化処理後に適切な温度で保持し、硬さを増加させる。

自然時効

室温での時効硬化現象。アルミニウム合金の一部は室温放置でも硬化が進む。

表面処理

金属表面に施す各種処理。防食、耐摩耗性向上、外観改善などの目的がある。

陽極酸化処理

アルミニウム表面を電気化学的に酸化皮膜で覆う処理。耐食性や装飾性向上が目的。

酸洗

鋳造品表面の酸化物や汚れを酸溶液で化学的に除去する処理。表面処理の前処理に用いられる。

⚠️ この工程で発生する主な不良:

  • 熱処理不良:不適切な熱処理条件による特性不足
  • 変形:熱処理による残留応力の開放で生じる変形
  • 表面処理ムラ:不均一な表面処理による外観不良
  • 過時効:過度の時効処理による特性低下
  • バリ残り:不完全なバリ取りによる外観不良
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検査工程 🔍

製品の品質確認を行う最終工程です。様々な検査方法を組み合わせて製品の健全性を評価します!

非破壊検査

製品を破壊せずに内部や表面の状態を調べる検査法。

CTスキャナ

コンピュータ断層撮影装置。鋳造品内部の非破壊検査に用いられる。

超音波探傷法

超音波を用いた非破壊検査法。内部欠陥の検出に有効。

発光分光分析

試料を加熱・発光させスペクトルを分析する方法。合金成分の定量分析に用いる。

検査方法は製品の要求品質に応じて適切に選定する必要があります。気密性が要求される部品にはリークテスタ、内部品質が重視される部品にはX線検査やCTスキャン、外観品質が重要な部品には目視検査を重点的に行います。

リークテスタ

漏れ検査装置。圧力や真空による気密性検査に用いる。

耐圧試験

鋳造品の気密性を確認するための試験。内部に圧力をかけて漏れの有無を調べる。

抜き取り検査

生産ロットから一部の製品を抽出して検査する方法。統計的品質管理の基本手法。

鋳巣基準

鋳造品内部の空隙(鋳巣)の許容基準。製品の品質評価基準として定められる。

⚠️ この工程で検出される主な不良:

  • 内部欠陥:引け巣、ガス巣、介在物などの内部不良
  • 表面欠陥:湯じわ、コールドシャット、肌あれなどの表面不良
  • 寸法不良:設計寸法からの逸脱
  • 耐圧不良:気密性不足による漏れ
  • 強度不足:機械的特性の不足
  • 外観不良:見栄えに関わる欠陥
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総合的な不良対策 💡

アルミニウム鋳造・ダイカストの品質向上には、各工程での適切な対策が重要です!

不良を低減するためには、各工程の要因を理解し、適切な対策を講じることが重要です。特に上流工程での品質作り込みが、最終製品の品質を大きく左右します。

ガス巣対策

・溶湯の適切な脱ガス処理の実施
・真空ダイカスト法の採用
・適正な鋳造温度の管理
・溶湯の清浄化維持

引け巣対策

・適切な鋳方案(湯道設計)
・指向性凝固の促進
・押湯の適正設計
・適切な金型温度分布の設計

割れ対策

・適切な製品設計(急激な肉厚変化の回避)
・金型温度の適正管理
・適切なタイミングでの型抜き
・合金組成の最適化

湯回り不良対策

・適正な鋳造温度と金型温度
・湯口や湯道の最適設計
・適切な射出速度と圧力
・合金の流動性向上

コールドシャット対策

・金型温度の適正化
・溶湯温度の適正化
・射出速度の最適化
・湯道系の改善

介在物対策

・溶湯の清浄化(スラグ除去)
・適切なフィルター使用
・金型内のガストラップ設計
・定期的な溶解炉の清掃

寸法精度向上

・金型温度の均一化
・適切な抜け勾配の設定
・射出圧力の最適化
・金型の精度管理

表面品質向上

・離型剤の適正塗布
・金型表面の適切なメンテナンス
・適切な湯流れの制御
・金型温度の最適化