コールドチャンバー方式のアルミダイカスト技能士2級試験

計算式ガイド 〜試験合格のためのポイント〜
2025年3月作成

📊 ダイカストマシンの基本計算

射出圧力の計算 (出題頻度:非常に高い)

基本公式
射出圧力(MPa) = マシンの射出力(kN) ÷ スリーブの断面積(mm²)
射出圧力: 金型に加わる圧力(MPa)
マシンの射出力: 射出シリンダーが発生する力(kN)
スリーブの断面積: π×(プランジャー径/2)²
射出力450kN、プランジャー径50mmの場合:
スリーブ断面積=3.14×(50²)=7,850mm²
射出圧力=450kN÷7,850mm²=0.05732kN/mm²=57.32MPa
単位の変換に注意(kN/mm²からMPaへの変換:1kN/mm²=1,000MPa)
有効数字は通常1~2桁で四捨五入する

🔧 型締め力の計算 (出題頻度:非常に高い)

基本公式
型締め力(kN) = 射出圧力(MPa) × 全投影面積(cm²)
型締め力: 金型が開かないようにするための力(kN)
射出圧力: 金型に加わる圧力(MPa)
全投影面積: 製品・ランナー・オーバーフロー・ビスケットの投影面積合計(cm²)
射出圧力57MPa、全投影面積850cm²の場合:
型締め力=57MPa×850cm²
単位変換:57×10³kN/m²×850×10⁻⁴m²=4,845kN
約4,900kNとなる(四捨五入)
単位の一致に注意(MPa=N/mm²=10³kN/m²)
面積の単位(cm²→m²)への変換を忘れないこと(1cm²=10⁻⁴m²)

📐 製品の投影面積計算 (出題頻度:非常に高い)

基本公式
投影面積(mm²) = 製品外形の面積 - 開口部の面積
投影面積: 型締め方向から見た製品の断面積(mm²)
製品外形の面積: 外形寸法から計算される面積
開口部の面積: 貫通穴などの面積
外形寸法300mm×210mm、開口部70mm×50mmの製品の場合:
製品外形の面積=300×210=63,000mm²
開口部の面積=70×50=3,500mm²
投影面積=63,000-3,500=59,500mm²=595cm²
複雑な形状は単純な図形に分解して計算する
最終的な単位はcm²になることが多い(1mm²=0.01cm²)
3DCADがあれば正確に計算可能

📏 押出し棒(ロッド)長さの計算 (出題頻度:高い)

基本公式
押出し棒長さ = 押出プレートと可動盤クリアランス + 可動盤厚み + 可動盤と金型押出板クリアランス + 押出ししたい量
押出プレートと可動盤クリアランス30mm、可動盤厚み435mm、可動盤と金型押出板クリアランス50mm、押出ししたい量60mmの場合:
押出し棒長さ=30+435+50+60=575mm
実際の機械寸法に基づいて計算する
押出ししたい量は製品の深さによって異なる

🔥 材料と凝固に関する計算

溶湯体積の計算 (出題頻度:高い)

基本公式
溶湯体積(cm³) = 鋳込み質量(g) ÷ 溶湯密度(g/cm³)
溶湯体積: 充填される溶融金属の体積(cm³)
鋳込み質量: 鋳造に使用される金属の質量(g)
溶湯密度: 溶融状態の金属の密度(g/cm³)
アルミニウム合金ADC12の鋳込み質量2,300g、溶湯密度2.4g/cm³の場合:
溶湯体積=2,300g÷2.4g/cm³=958.33cm³
約958cm³(四捨五入)
アルミニウム合金の密度は合金により若干異なる
ADC12の溶湯密度は一般的に約2.4g/cm³

🌡️ アルミ合金の熱膨張・収縮計算 (出題頻度:中)

基本公式
寸法変化量(mm) = 温度差(℃) × 部材長さ(mm) × 線膨張係数(/℃)
アルミ合金(線膨張係数23.4×10⁻⁶/℃)の1m棒を20℃から100℃に加熱した場合:
寸法変化量=(100-20)℃×1,000mm×23.4×10⁻⁶/℃=1.872mm
温度低下の場合は収縮(マイナス)となる
アルミ合金の線膨張係数は温度範囲により異なる
ADC12の線膨張係数は約21×10⁻⁶/℃

⏱️ 鋳造条件の計算

充填時間の計算 (出題頻度:中)

基本公式
充填時間(s) = キャビティ体積(cm³) ÷ [ゲート断面積(cm²) × ゲート速度(cm/s)]
キャビティ体積850cm³、ゲート断面積2cm²、ゲート速度300cm/sの場合:
充填時間=850cm³÷(2cm²×300cm/s)=1.42s
層流ダイカストのゲート速度は約100〜400cm/s(1〜4m/s)
充填時間が長すぎると凝固不良、短すぎると巻き込み不良の原因となる

⏰ 鋳造サイクルタイム計算 (出題頻度:低)

基本公式
サイクルタイム(s) = 型閉時間 + 充填時間 + 凝固時間 + 型開時間 + 製品取出時間
型閉5s、充填0.05s、凝固15s、型開3s、製品取出7sの場合:
サイクルタイム=5+0.05+15+3+7=30.05s
層流ダイカストのサイクルタイムは一般的に60s以下
実際のサイクルタイムは金型設計や製品形状により異なる

📈 生産管理と品質に関する計算

稼働率の計算 (出題頻度:低〜中)

稼働率(%) = (実際に生産された量 ÷ 生産能力) × 100
生産能力200個/日、実際の生産数160個/日の場合:
稼働率=(160÷200)×100=80%

歩留まりの計算 (出題頻度:低〜中)

歩留まり(%) = (良品数 ÷ 総生産数) × 100
総生産数1,000個、良品数950個の場合:
歩留まり=(950÷1,000)×100=95%
歩留まりが低い場合は工程の見直しが必要
ダイカスト工程の一般的な目標歩留まりは95%以上

🎯 試験対策のポイント

計算問題の傾向と対策

射出圧力の計算:射出力とプランジャー径から射出圧力を求める問題
型締め力の計算:射出圧力と投影面積から型締め力を求める問題
投影面積の計算:製品図面から投影面積を求める問題
押出し棒長さの計算:機械の寸法から必要な押出し棒長さを求める問題
溶湯体積の計算:鋳込み質量から溶湯体積を求める問題

覚えておくべき数値

ADC12の一般的な溶湯密度:約2.4g/cm³
ADC12の保持炉の設定温度:660〜680℃
金型キャビティ表面温度:約170℃
層流ダイカストのゲート速度:1〜4m/s

計算時の注意点

単位の変換:特に面積(mm²→cm²)と圧力(kN/mm²→MPa)の変換に注意
有効数字:通常2桁程度の精度で計算する(試験では概算値も許容される)
公式の使い分け:問題内容に応じて適切な公式を選択する
電卓操作:複雑な計算ではメモリ機能を活用し、中間結果を保存する

🏆 結論

コールドチャンバー方式のアルミダイカスト技能士2級試験の計算問題は、基本的な物理法則と単位変換を理解していれば十分対応可能です。特に射出圧力、型締め力、投影面積の計算は試験での出題頻度が高いため、繰り返し練習することをお勧めします。

また、実際の過去問から計算式の応用方法を学び、実際の作業との関連性を理解することで、より効果的な試験対策が可能になります。コールドチャンバー方式の特性を理解し、アルミニウム合金の特性を踏まえた計算ができるよう準備してください。

基本をしっかり理解し、単位変換に注意して計算問題に取り組めば、技能士2級試験に合格できるでしょう。