🔧 アルミニウムダイカスト技能士2級 用語カード集 🔧

2025年3月版
このグラフィックレコーディングは、アルミニウムダイカスト(コールドチャンバー方式)の2級技能士試験合格を目指す方のために作成されました。
試験に頻出する重要用語とその解説を視覚的にまとめています。効率的な学習のためにご活用ください。

基本用語

コールドチャンバダイカストマシン

意味: 溶融金属を射出室(スリーブ)に注入し、プランジャーで金型内に圧入する方式のダイカストマシン

  • アルミニウム合金などの高融点金属に適している
  • 対義語はホットチャンバダイカストマシン
  • タイバー、射出装置、型締め装置、駆動系統から構成
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鋳造圧力

意味: 溶湯を金型内に充填する際にかける圧力

  • 単位: MPa (メガパスカル)
  • 範囲: 一般的に50~70MPa程度
  • 役割: 鋳巣(内部欠陥)の抑制、寸法精度の向上
計算例: 鋳造面積300cm²の場合
60MPa×300cm²÷100=180トンの型締め力が必要
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プランジャ速度

意味: 溶湯を金型内に射出する際のプランジャの移動速度

  • 単位: m/s(メートル/秒)
  • 範囲: 一般的に2.0~3.0m/s程度
  • 役割: 湯回り性の向上、湯じわ防止
  • 設定方法: 製品の形状、肉厚、ゲート位置に応じて調整
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金型温度

意味: ダイカスト金型の作動面温度

  • 単位: ℃(摂氏)
  • 範囲: アルミニウム合金では180~220℃程度
  • 管理方法: 温度センサーによる測定、冷却回路による調整
  • 影響: 低すぎると湯回り不良、高すぎると離型性低下
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ダイカストマシンの構造

タイバー

意味: ダイカストマシンの固定側と可動側を連結する支柱

  • 役割: 型締め力を支える重要構造部材
  • 本数: 通常4本構成
  • 材質: 高強度合金鋼
  • 検査ポイント: たわみ、疲労き裂の有無
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トグル機構

意味: ダイカストマシンの型締めに使用される機構

  • 特徴: 少ない力で大きな型締め力を発生
  • 種類: 単動トグル、複動トグルなど
  • メンテナンス: ピン部の潤滑、摩耗チェック
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射出シリンダー

意味: プランジャを駆動する油圧シリンダー

  • 種類: 単段式、多段式
  • 最高圧力: 14~21MPa程度
  • メンテナンス: シール部の点検、油漏れチェック
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欠陥と対策

鋳巣(内部欠陥)

意味: 鋳造品内部に生じる空洞欠陥

  • 種類: ガス巣、収縮巣など
  • 原因: ガス巻き込み、金属の凝固収縮など
  • 対策: 鋳造圧力の調整、湯口・湯道の適正化
  • 検査方法: X線検査、浸透探傷検査
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湯じわ

意味: 製品表面に現れる波状の模様

  • 原因: 溶湯の乱流、温度低下による流動性低下
  • 対策: プランジャ速度調整、金型温度の最適化
  • 発生箇所: 溶湯の流れ方向が変わる部分、合流部
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バリ(鋳バリ)

意味: 製品の分割面から溶湯が漏れて生じる薄い金属片

  • 原因: 型締め力不足、金型の摩耗
  • 対策: 型締め力の適正化、金型メンテナンス
  • 種類: パーティングバリ、ピンバリ、ベントバリなど
  • 除去方法: トリミング、バレル研磨、サンドブラスト
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金型関連

中子

意味: 製品内部に穴や凹部を形成するための金型の一部

  • 種類: 固定中子、可動中子など
  • 材質: 金型と同じ材質または他の金型材
  • 注意点: 引抜角度の確保、適切な冷却
  • 冷却方法: 中子内部水冷、熱伝導材の使用
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抜け勾配

意味: 製品を金型から取り出しやすくするための傾斜

  • 単位: 度(°)または%
  • 標準値: 一般的に外側は1°以上、内側は1.5°以上
  • 重要性: 製品の離型性確保
  • 測定方法: 勾配ゲージ、3次元測定機
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型締め力

意味: 鋳造中に金型が開かないように加える力

  • 単位: トン(t)または kN(キロニュートン)
  • 選定方法: 鋳造品の投影面積と鋳造圧力から計算
  • 関連: ダイカストマシンの仕様を決める重要要素
計算式: 型締め力(t) = 投影面積(cm²) × 鋳造圧力(MPa) × 安全係数(1.2~1.5) ÷ 10
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合金と材料

アルミニウム合金

意味: アルミニウムを主成分とし、他の元素を添加した合金

  • 主な添加元素: Si, Cu, Mg, Zn など
  • ダイカスト用合金: ADC12(Al-Si-Cu系)が最も一般的
  • 特性: 軽量、熱伝導性良好、耐食性
  • 組成例: ADC12はSi:9.6~12.0%、Cu:1.5~3.5%、Fe:1.3%以下
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T5処理

意味: 人工時効硬化処理(鋳造後に加熱処理を行い強度を向上させる)

  • 温度条件: 一般的に150~180℃
  • 時間: 2~5時間程度
  • 効果: 硬さ、強度の向上
  • 適用合金: Al-Si-Cu系、Al-Si-Mg系
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ドロス

意味: 溶解中に生成する金属酸化物などの不純物

  • 形成原因: 酸素との接触、不純物の酸化
  • 除去方法: スキミング(すくい取り)
  • 影響: 製品強度低下、内部欠陥の原因
  • 防止策: カバーガス(SF₆、アルゴン)の使用
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材料試験

引張試験

意味: 材料の強度特性を調べるための機械的試験

  • 測定値: 引張強さ、耐力、伸び
  • 単位: MPa(引張強さ、耐力)、%(伸び)
  • 試験片: JIS規格に基づく形状の試験片
  • 代表値: ADC12の場合、引張強さ約230MPa、伸び約1〜3%
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硬さ試験

意味: 材料の硬さを測定する試験

  • 方法: ブリネル硬さ、ロックウェル硬さなど
  • 単位: HB(ブリネル)、HRB/HRC(ロックウェル)
  • 特徴: 非破壊的に材料特性を評価できる
  • 標準値: ADC12の場合、HB 75〜90程度
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工程と作業

トリミング

意味: 製品からバリや湯口部を除去する作業

  • 方法: プレス機によるせん断、機械加工など
  • タイミング: 鋳造後、製品が冷却された状態で実施
  • 重要性: 製品の仕上がり品質に直結
  • 装置: 油圧プレス、メカニカルプレス、専用金型
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スリーブ充填率

意味: 射出スリーブの容積に対する注入溶湯の割合

  • 最適値: 一般的に40~60%
  • 注意点: 低すぎるとエアトラップ、高すぎると押し戻りの原因
計算方法: (注湯量/スリーブ容積)×100%
例: 製品重量300g、湯口重量200g、スリーブ容積1000cm³、アルミ比重2.7g/cm³の場合
充填率 = (300+200)÷2.7÷1000×100 = 18.5%
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キュアリングタイム

意味: 製品を金型内で冷却する時間

  • 目的: 製品の強度確保、変形防止
  • 設定: 製品の肉厚、形状により異なる
  • 範囲: 数秒~数十秒
  • 設定方法: 肉厚部の固化時間を目安(肉厚2mmあたり約1秒)
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特殊ダイカスト法

真空ダイカスト法

意味: 金型内を真空状態にしてから溶湯を充填する方法

  • 効果: ガス巣の低減、内部品質の向上
  • 応用: 熱処理可能な高品質ダイカスト製品の製造
  • 特徴: 通常のダイカストより設備投資が必要
  • 真空度: 通常13~20kPa程度(完全真空ではない)
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低圧ダイカスト法

意味: 比較的低い圧力で溶湯を金型に充填する方法

  • 圧力範囲: 0.02~0.05MPa程度
  • 特徴: 湯流れが穏やか、鋳巣が少ない
  • 用途: 高品質要求部品、複雑形状部品
  • メリット: 湯口が少なく歩留まりが高い
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スクイズキャスティング法

意味: 溶湯充填後に高圧力を加える鋳造法

  • 圧力: 50~100MPa程度
  • 特徴: 緻密な組織、高強度、熱処理可能
  • 用途: 自動車エンジン部品、高強度部品
  • 種類: 直接法、間接法
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鋳造方案の決定

ダイカストマシンの機種選定

意味: 製品に適したダイカストマシンを選ぶこと

  • 考慮点: 製品重量、鋳造面積、型締め力
  • 判断基準: 型締め力計算値に対して1.2~1.5倍の余裕
  • 重要性: 適切な選定が品質と生産性に直結
計算例: 製品投影面積400cm²、鋳造圧力60MPaの場合
型締め力 = 400×60×1.2÷10 = 2880kN (約294トン) → 300トンマシン選定
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鋳造条件の設定

意味: 良品を安定して生産するための条件を決めること

  • 主要項目: 金型温度、鋳込み温度、プランジャ速度、鋳造圧力
  • 設定方法: 試し打ちによる最適条件の探索
  • 記録: 条件表の作成と維持管理
  • 評価方法: 外観、X線検査、断面観察、機械的性質
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湯口・湯道の設計

意味: 溶湯が製品に適切に流れるための通路設計

  • 目的: 乱流防止、空気巻き込み防止、均一充填
  • 形状因子: 断面積、長さ、位置、分岐方法
  • 影響: 製品品質、鋳造歩留りに直結
  • 設計例: ゲート厚さは製品肉厚の約40〜70%程度
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品質管理

寸法精度

意味: 製品の寸法が設計値にどれだけ近いかの指標

  • 単位: mm(ミリメートル)
  • 測定方法: ノギス、マイクロメータ、三次元測定機など
  • 公差: 一般的に±0.1mm~±0.5mm程度
  • JIS基準: JIS H 5302による等級分類(1級〜5級)
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不良率

意味: 全生産量に対する不良品の割合

  • 計算: (不良数/全生産数)×100%
  • 目標値: 業界平均で2~3%以下
  • 重要性: 生産効率、コストに直結
  • 改善手法: QCサークル活動、5S活動など
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鋳造歩留り

意味: 溶湯重量に対する製品重量の割合

  • 計算: (製品重量/(製品重量+湯口・湯道重量))×100%
  • 目標値: 一般的に50~70%程度
  • 向上策: 湯口・湯道設計の最適化
計算例: 製品重量500g、湯口重量300gの場合
歩留り = 500/(500+300)×100 = 62.5%
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安全衛生

❗ 安全のポイント ❗

安全装置

  • インターロック、光線式安全装置
  • 両手操作式スイッチ
  • 始業前点検で確実に動作確認

保護具

  • 耐熱手袋、保護メガネ、安全靴
  • 作業内容に適した保護具の選択
  • 定期的な点検、交換

溶湯の安全取扱い

  • 高温の溶融金属による火傷に注意
  • 水分との接触による爆発の危険性
  • 定期的な安全教育、緊急時対応訓練

危険予知活動(KY活動)

  • 作業開始前の潜在的危険予知
  • 危険要因の抽出→重要度評価→対策
  • チーム単位での短時間ミーティング

👉 指差し確認、声出し唱和で安全作業! 👈

トラブルシューティング

プランジャの焼き付き

原因:潤滑不良、プランジャの芯ずれ
対策:潤滑剤供給の確認、部品交換、芯出し調整
前兆:射出抵抗増加、異音発生

金型の突発故障

原因:過負荷、疲労、冷却不良など
対策:定期点検、予防保全、適正条件での運用
応急措置:部分修理、応急処置による生産継続

溶湯品質の急変

原因:原料の混入、炉内状態の変化
対策:原料管理、定期的成分分析、炉の管理
確認方法:簡易試験片、スペクトル分析

新技術と動向

🔬 アルミニウム合金の高性能化

強度、延性、耐熱性などを向上させた新合金開発
例: Al-Mg-Si系高強度合金、耐熱Al-Si-Cu-Mg系合金
応用: 自動車構造部品、航空機部品

🌱 環境負荷低減技術

CO₂排出削減、エネルギー効率向上のための技術
方法: 省エネ型溶解炉、断熱材の活用、廃熱回収
目標: 2030年までに2018年比30%削減

💻 IoT・AI活用技術

センサーとデータ解析による生産の最適化
例: 金型温度の自動制御、予知保全、不良予測
メリット: 品質安定化、歩留り向上

🖥️ シミュレーション技術

湯流れ、凝固過程などをコンピュータで解析
活用: 金型設計、製品設計、鋳造条件最適化
メリット: 試作回数削減、開発期間短縮

技能検定対策

学科試験のポイント
  • 基本用語の理解を徹底する
  • 過去問題を繰り返し解く
  • 出題傾向: 基礎理論、実務知識、安全衛生、関連法規
  • 重点分野: 鋳造欠陥の原因と対策、条件設定の考え方
  • 試験前確認: 単位換算、計算式の確認
実技試験対策
  • 試験課題: 指定された製品の鋳造
  • 採点ポイント: 寸法精度、外観品質、条件設定の適切さ
  • 時間配分: 準備、試し打ち、本番、後処理
  • 練習方法: 実際の作業と同じ流れで繰り返し練習
  • 注意点: 安全作業の徹底、5S(整理・整頓・清掃・清潔・躾)の実践